2018年1月11日、アンディ・マレー(イギリス)は、7月グランドスラム「ウィンブルドン」での引退を計画していると語った。
発表の場は、グランドスラム「全豪オープン」開催直前に選手に対して行われる、定例の記者会見。
特別に用意された会見ではなかった。
なお、詳細は以下に述べるが、アンディ・マレー(イギリス)は、7月グランドスラム「ウィンブルドン」での引退を希望しているものの、怪我の状態はよくなく、それまでプレーが続けられるかどうかはわからないとしている。
グランドスラム「全豪オープン」やその他の大会が、最後の大会となる可能性もある。
(アンディ・マレー大会出場スケジュールはこちらを参照)
Big 4 の一角、多くのファンを魅了するアンディ・マレー(イギリス)。
ツアー優勝45回。グランドスラムは、ウィンブルドンを含め優勝3回、準優勝8回。
オリンピック金メダル2回。ATPファイナル優勝。デビスカップ優勝。
※ 2019年1月11日時点
2016年11月、世界ランキング1位に達するが、臀部の怪我のため、2017年途中でシーズンを離脱。2018年1月に手術を受けた。
アンディ・マレー(イギリス)は現在31才。2019年5月15日で32才になる。
2019年が、アンディ・マレー(イギリス)現役最後のシーズンとなる。
アンディ・マレー引退計画を発表
全豪オープン記者会見
アンディ・マレー(イギリス)が引退のを語ったグランドスラム「全豪オープン」記者会見。
アンディ・マレー(イギリス)は、怪我の状態を聞かれ、少し間をおいて、「よくはない」と返答。ため息をもらした。
そして、帽子に手を当てて顔を隠し、うつむいた。
その後何かを言おうとしたが、言葉に詰まり、しばらく沈黙。
涙を流し、アンディ・マレー(イギリス)は会場外に退出した。
その後、アンディ・マレー(イギリス)は会場に戻り、謝罪。
怪我の状況、そして、引退について語った。
非常に強い痛みに、約20か月、悩まされてきた。
臀部の状態が良くなるよう、あらゆること、全てのことを試し、行った。でも、ダメだった。
半年前より状態はいいが、まだ強い痛みがある。厳しい状況であり、精神的にも苦しみが続いている。
(全豪オープンは)出場する。まだプレーはできる。自分が望むレベルのプレーではないが。
それだけではない。痛みは非常に強い。このままプレーを続けたくはない。
12月のトレーニング半ば、チームに話した。(アメリカ合衆国マイアミ、フェルナンド・ベルダスコ(スペイン)との練習後)
「もう続けられない。終わらせなければならない。」
「痛みが止まる見込みがなく、プレーし続けることはできない。」そして決断した。
「ウィンブルドンで最後にしたい。ウィンブルドンまで、この状態を乗り越えられるよう努力する。」
ただし、グランドスラム「全豪オープン」での会見では、次のように加えた。
ウィンブルドンでキャリアを終わらせたいと考えている。
でも、それまでプレーできるかどうかわからない。
アンディ・マレー(イギリス)は、あふれる涙を手で拭い、言葉を詰まらせうつむいた。
グランドスラム「全豪オープン」が最後の大会となるかもしれないのかとの質問に対し、
その可能性はある。痛みを抱えながら、残り4~5ヶ月をプレーし続けられるかどうか、わからない。
再度、手術を受けることは選択肢の一つ。臀部の一部を付け替えるもので、前回(2018年1月)の手術よりも重い手術になる。この手術は、痛みがなくなり、生活しやすくなる。
ただし、テニスが続けられる保証はない。プロには戻れないだろう。
いくつかの選手はプロとして復帰を果たしている。この手術は、ボブ・ブライアン(アメリカ)が受けたもので、彼は今月復帰した。
彼ともよく話した。現実的に考えて、復帰は難しいと思っている。ダブルスとシングルスでは動きも異なる。
いまは痛みなしに靴も靴下も履けない。現在、手術を検討している。
アンディ・マレー(イギリス)は、前回の手術を行った医師とも話したことを明かした。
昨日(2019年1月10日)、医師と会った。助けになることは何もなかった。
臀部の右側が大きく損傷している。
数年前から、痛みの中でプレーしてきた。
2017年グランドスラム「全仏オープン」準決勝でのスタン・ワウリンカ(スイス)との試合後、痛みは非常に強くなった。耐えられない程に、試合後に回復できない程に、悪化した。(2018年1月の)手術は、良くなることを期待して受けたが、痛みは全く治まらなかった。前向きな手段がなく、苦しむようになった。
制限のある中でもプレーはできる。でも、痛みを抱えながら、テニスを楽しむことはできない。
試合も、練習も、僕が愛する全てを妨げる。
ダブルスへの転向については、「No」と即答。
強い痛みがあり、自分のやりたいこと、愛するテニスができない。もはや楽しむことはできない。
そして、アンディ・マレー(イギリス)は席を立ち、会場を後にした。
アンディ・マレー(イギリス)の引退発表直後から、テニス選手、数多くの著名人、大会がエールを送り、コメントを寄せている。
Adversity. Emotion. Perseverance. Triumph. History.
— Wimbledon (@Wimbledon) 2019年1月11日
A tale like no other. A player like no other.#Wimbledon pic.twitter.com/dcUIl7tNr1
その中から、度重なる怪我をに悩まされたフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)がTwitter で公開したメッセージを紹介する。
原文はこちら(Twitter, 英語)
「アンディ、記者会見をみたよ。
お願いだからtry はやめるんだ。怪我から回復できるよう試みる(try)のではなくて、戦い(fight)続けるんだ。
(訳者注:アンディ・マレー(イギリス)は会見の中で”臀部の状態が良くなるよう、あらゆること、全てのことを試し(try)、行った。” など、try と表現していた)
君の痛みや悲しみは理解できる。ぜひ乗り越えて欲しい。
君の好きなタイミングで、いつでも、引退すればいい。
我々はアンディを愛してる。
アンディの幸せと健闘を祈る。」