2017年活躍した選手に贈られる「ATPワールドツアー・アワード」。
2017年の受賞者には、最優秀選手賞にラファエル・ナダル(スペイン)の他、ロジャー・フェデラー(スイス)が3部門で受賞。期待の若手デニス・シャポバロフ(カナダ)などが選出された。
各賞は、ATP、選手、ファンなどによる投票で選定される。また、選手以外にも、コーチ、大会が受賞する。2017年は、昨年に引き続きモエ・エ・シャンドンをスポンサーに表彰式が開催された。
「ATPワールドツアー・アワード」2017年の受賞者は、次の通り。
ATPワールドツアー・アワード
2017年
最優秀選手(Player of the Year):ラファエル・ナダル
「ATPワールドツアー・アワード」最優秀選手賞(Player of the Year)は、年末世界ランキング1位の選手に付与される。
2017年の受賞者は、ラファエル・ナダル(スペイン)!
ラファエル・ナダル(スペイン)は過去、2008年、2010年、2013年にも受賞しており、2017年で4回目。
2016年はアンディ・マレー(イギリス)が受賞した。
ラファエル・ナダル(スペイン)は、怪我からの復帰となった2017年、グランドスラム「全豪オープン」で準優勝。
クレーコートシーズンでは、「モンテカルロRolexマスターズ(ATP1000)」優勝、「バルセロナ・オープン・バンコサバデル(ATP500)」優勝、マドリッド「ムトゥア マドリッド・オープン(ATP1000)」優勝、そしてグランドスラム「全仏オープン」に優勝。圧倒的な強さで魅了した。
さらに、ハードコートのグランドスラム「全米オープン」でも自身3度目の優勝。進化した「攻撃的な」ラファエル・ナダル(スペイン)を、ハードコートの舞台でも存分に披露した。
シーズン終盤は、ひざの怪我により、「パリ・マスターズ(ATP1000)」、「ATPワールドツアー・ファイナル」で途中棄権を余儀なくされた。状態が心配されるが、ひざの怪我は以前より抱えるものであり、”何をすればよいかわかっている” という。
受賞セレモニーでは、ラファエル・ナダル(スペイン)は「(怪我で離脱した)1年前、No. 1 に戻れるとは夢にも思わなかった」と語った。
2017年を振り返ると、ラファエル・ナダル(スペイン)ほどNo. 1 に相応しい選手はない。
2018年以降も、引き続きの活躍に期待したい。
なお、ラファエル・ナダル(スペイン)は31才。1973年以降、最年長での受賞となった。
また、ダブルス最優秀チーム(Doubles Team of the Year)は、ルカーシュ・クボト(ポーランド)&マルセロ・メロ(ブラジル)が受賞した。
最も上達した選手(Most Improved Player):デニス・シャポバロフ
最も上達した選手(Most Improved Player)は、選手同士の投票によって選出される。
“This is incredible... I have worked so hard this year and I hope to be among the Top 8 one year... it would be a dream come true."@denis_shapo is honoured with two awards, including the Star of Tomorrow Award presented by @emirates ➡️ https://t.co/px3FVgBpeC pic.twitter.com/2vCWKayX70
— ATP Tour (@atptour) 2017年11月19日
2017年の受賞者は、18才デニス・シャポバロフ(カナダ)。後述の明日のスター(ATP Star of Tomorrow)とともに2部門を受賞した。
2017年ノミネートされた選手は、アレクサンダー・ズべレフ(ドイツ) 、パブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)、アンドレイ・ルブレフ(ロシア)、デニス・シャポバロフ(カナダ)の4名。
選手の投票により、デニス・シャポバロフ(カナダ)が選出された。
パブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)は2013年に最も上達した選手(Most Improved Player)を受賞。2016年は、ルカ・プイユ(フランス)が受賞した。
なお、2005年には当時19才であったラファエル・ナダル(スペイン)が、2006年、2007年にはノバク・ジョコビッチ(セルビア)が受賞している。
デニス・シャポバロフ(カナダ)は、2017年、地元開催のモントリオール「ロジャーズ・カップ(ATP1000)」にワイルドカードとして出場。
フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)、そしてラファエル・ナダル(スペイン)に勝利し準決勝にまで進出。世界中を驚かせた。
さらに、予選からの出場となったグランドスラム「全米オープン」ではジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)にも勝利し第4回戦に進出。一気にスターに躍り出た。
モントリオール「ロジャーズ・カップ(ATP1000)」での活躍により、ATPワールドツアー・マスターズ1000 大会における準決勝進出の最年少記録も更新した。
2017年初め世界ランキングでは250位であったデニス・シャポバロフ(カナダ)。2017年11月20日付世界ランキングにおいては世界51位へと大幅なランクアップを達成した。飛躍の2017年だったと言えるだろう。そして、今後も更なる活躍が期待される選手である。
明日のスター(ATP Star of Tomorrow):デニス・シャポバロフ
明日のスター(ATP Star of Tomorrow)は、「パリ・マスターズ(ATP1000)」終了後の世界ランキング(2017年は、11月6日付世界ランキング)にいおいて、世界100位以内の選手の中で最も若い選手が受賞する。
2017年の受賞者は、世界51位18才、デニス・シャポバロフ(カナダ)。
2014年はボルナ・チョリッチ(クロアチア)、2015年はアレクサンダー・ズべレフ(ドイツ)、2016年はテイラー・フリッツ(アメリカ)が受賞した。
デニス・シャポバロフ(カナダ)は、最も上達した選手(Most Improved Player)とともに2017年W受賞となった。
カムバック賞(Comeback Player of the Year):ロジャー・フェデラー
カムバック賞(Comeback Player of the Year)は、怪我から復帰し活躍した選手が、選手同士の投票によって選出される。
2017年の受賞者は、ロジャー・フェデラー(スイス)。
ロジャー・フェデラー(スイス)は、2017年、後述のファンに最も人気の選手(Fan’s Favorite)、スポーツマンシップ賞(Stefan Edberg Sportsmanship Award)とともに3部門での受賞を果たした。
2017年カムバック賞(Comeback Player of the Year)にノミネートされた選手は、ラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラー(スイス)、ケビン・アンダーソン(南アフリカ)、フィリップ・クライノビッチ(セルビア)、セドリク・マルセル・ステベ(ドイツ)、ヤンコ・ティプサレビッチ(セルビア)。
2016年は、フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)が受賞した。
ロジャー・フェデラー(スイス)は、2016年2月にひざ半月板の手術を受け、シーズンを一時離脱。復帰するも背中(腰)の怪我に苛まれる。痛みを抱えながら大会に出場するが、再度、ひざを痛め、7月グランドスラム「ウィンブルドン」での敗退を持って、2016年シーズンを終了し休養に入った。
そして、2017年、公式試合復帰の大会となったグランドスラム「全豪オープン」でなんと優勝。その後も、クレーコート・シーズンは休養するが、グランドスラム「ウィンブルドン」でも優勝を果たすなど、年間7回のタイトルを獲得した。
7回の優勝は、ラファエル・ナダル(スペイン)の6回を抜き2017年最多。なお、2016年はゼロであった。まさに大復活を遂げた2017年と言えるだろう。
年末世界ランキングにおいても世界2位でフィニッシュ。世界1位 ラファエル・ナダル(スペイン)との差も縮まりつつある。2018年以降も、引き続きの活躍が期待される。
ファンに最も人気の選手(Fan’s Favorite):ロジャー・フェデラー
ファンに最も人気の選手(Fan’s Favorite)は、グランドスラム「全米オープン」直後の2017年9月11日付ATP ランキング「レース」でTop 25 の選手の中から、ファンの人気投票によって選ばれる。
2017年の受賞者は、ロジャー・フェデラー(スイス)。
ロジャー・フェデラー(スイス)の人気は圧倒的。2003年に初めて受賞してから、15年連続での受賞となった。
また、ダブルスでファンに最も人気のチーム(Fan’s Favorite Team)の2017年受賞は、ブライアンブラザーズ or ブライアンズこと、ボブ・ブライアン(アメリカ)&マイク・ブライアン(アメリカ)。2005年以来、13年連続での受賞となった。
スポーツマンシップ賞(Stefan Edberg Sportsmanship Award):ロジャー・フェデラー
スポーツマンシップ賞(Stefan Edberg Sportsmanship Award)は、選手同士の投票によって選出される。評価は試合中だけでなく、オフ・コートでの活動も含まれる。
2017年の受賞者は、ロジャー・フェデラー(スイス)。13回目、7年連続での受賞となった。
なお、2017年ノミネートされた選手は、ラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラー(スイス)、マリン・チリッチ(クロアチア)、フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)。
2010年には、ラファエル・ナダル(スペイン)が受賞している。
人道貢献賞(Arthur Ashe Humanitarian of the Year):オリア・テカウ
人道貢献賞(Arthur Ashe Humanitarian of the Year)は、ATPによって選出される。テニス選手に限らず人道活動において多大な貢献をした人物が選出され、1997年にはネルソン・マンデラ南アフリカ元大統領が受賞している。
2017年の受賞者は、ダブルスの選手オリカ・テカウ(ルーマニア)。
オリカ・テカウ(ルーマニア)は、母国ルーマニアで子供の人権、健康、教育の確立に貢献。4月にはルーマニア・ユニセフの大使に就任している。
2016年は、マリン・チリッチ(クロアチア)が受賞した。
最優秀コーチ(Coach of the Year):ネビル・ゴッドウィン(ケビン・アンダーソン のコーチ)
最優秀コーチ(Coach of the Year)は、コーチ同士の投票によって選出される。
2017年の受賞者は、ネビル・ゴッドウィン(南アフリカ)。ケビン・アンダーソン(南アフリカ) のコーチを務めた。
2017年のノミネートは、以下であった。
- トニー・ナダル(スペイン)&カルロス・モヤ(スペイン):ラファエル・ナダル(スペイン)のコーチ
- イワン・リュビチッチ(クロアチア):ロジャー・フェデラー(スイス)のコーチ
- ネビル・ゴッドウィン(南アフリカ):ケビン・アンダーソン(南アフリカ) のコーチ
- アレクサンダー・ズべレフ シニア(ドイツ):アレクサンダー・ズべレフ(ドイツ)とミーシャ・ズべレフ(ドイツ)のコーチ
- マーティン・ローレンドー(カナダ):デニス・シャポバロフ(カナダ)のコーチ
同賞は、2016年の開始。初回の2016年は、マグナス・ノーマン(スウェーデン)(スタン・ワウリンカ(スイス)のコーチ)が受賞した。
なお、2017年シーズンを最後に、マグナス・ノーマン(スウェーデン)はスタン・ワウリンカ(スイス)のコーチを辞任している。
ネビル・ゴッドウィン(南アフリカ)は、2017年、怪我からの復帰したケビン・アンダーソン(南アフリカ)のグランドスラム「全米オープン」準優勝を導いた。
最優秀大会(Tournaments of the Year):インディアンウェルズ、アカプルコ、ドーハ
最優秀大会(Tournaments of the Year)は、ATP1000、ATP500、ATP250 それぞれのカテゴリから、大会に出場した選手の投票によって選出される。
2017年の受賞は以下3大会。
インディアンウェルズ「BNPパリバ・オープン(ATP1000)」には、Big 4(アンディ・マレー、ノバク・ジョコビッチ、ラファエル・ナダル、ロジャー・フェデラー)の全員と、スタン・ワウリンカ(スイス)、錦織圭(日本)などほとんどのトップ選手が出場。
決勝戦では、ロジャー・フェデラー(スイス)とスタン・ワウリンカ(スイス)が激闘を交わし、ロジャー・フェデラー(スイス)が大会5回目の優勝を果たした。
なお、西岡良仁(日本)もラッキールーザーとして本選に出場。イボ・カルロビッチ(クロアチア)、トマーシュ・ベルディヒ(チェコ)に勝利しベスト16 に進出。
ベスト16 では後の準優勝者、スタン・ワウリンカ(スイス)に敗れるもフルセットの接戦を戦い魅了した。
インディアンウェルズ「BNPパリバ・オープン(ATP1000)」は、4年連続4回目の最優秀大会(Tournaments of the Year)受賞となった。
アカプルコ「アビエルト・メキシカーノ・テルセル(ATP500)」は、2007年以来、2回目の受賞。
2017年は、ラファエル・ナダル(スペイン)、マリン・チリッチ(クロアチア)、ドミニク・ティーム(オーストリア)、ダビド・ゴファン(ドイツ)、ニック・キリオス(オーストラリア)、フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)らに加え、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が大会直前に参戦を発表し、ワイルドカードとして出場した。
決勝戦では、ラファエル・ナダル(スペイン)とサム・クエリー(アメリカ)が対戦し、サム・クエリー(アメリカ)が優勝。
大会前世界ランキングでは40位であったサム・クエリー(アメリカ)。優勝により世界26位に浮上し、さらに、その後のグランドスラム「全米オープン」などでも活躍。世界ランキング13位にまで上昇、自己ベストを更新した。
また、西岡良仁(日本)は同大会でジャック・ソック(アメリカ)に勝利。準々決勝に進出し、世界中を驚かせた。
ドーハ「カタール・エクソンモービル・オープン(ATP250)」は、2015年以来、2回目の受賞。
2017年初めに開催され、アンディ・マレー(イギリス)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、トマーシュ・ベルディヒ(チェコ)、ダビド・ゴファン(ベルギー)、ジョーウィルフリード・ツォンガ(フランサ)らが出場した。
決勝戦では、当時世界ランキング1位アンディ・マレー(イギリス)と同2位ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が闘志むき出しの接戦を繰り広げ、フルセットの末にノバク・ジョコビッチ(セルビア)が優勝。
2016年から続いていたアンディ・マレー(イギリス)の連勝を28回でストップさせた。
ATPワールドツアー・アワード
2017年受賞者一覧
「ATPワールドツアー・アワード」2017年の受賞者一覧は、次の通り。
賞 | 受賞者 |
---|---|
ラファエル・ナダル(スペイン) | |
ルカーシュ・クボト(ポーランド)&マルセロ・メロ(ブラジル) | |
デニス・シャポバロフ(カナダ) | |
デニス・シャポバロフ(カナダ) | |
ロジャー・フェデラー(スイス) | |
ロジャー・フェデラー(スイス) | |
ボブ・ブライアン(アメリカ)&マイク・ブライアン(アメリカ) | |
ロジャー・フェデラー(スイス) | |
オリア・テカウ(ルーマニア) | |
ネビル・ゴッドウィン(南アフリカ)(ケビン・アンダーソン(南アフリカ)のコーチ) | |
インディアンウェルズ(ATP1000) アカプルコ(ATP500) ドーハ(ATP250) |